人身事故


 昼下がり、二日酔いで頭をガンガンさせながらレディオヘッドのCDを聴いていたら、そのメロディーにかぶさって「キキュキュキュ、ボスン」という音が聞こえた。3階のベランダから外を見てみたら、道路に人が一人倒れていた。そのそばにバイクが停まっていた。5、6人の通りすがりらしき人が周りに集まっていた。しばらくして救急車が来た。それからパトカーが来た。パトカーのサイレンは救急車よりも威圧的だった。歩道にはやじ馬が10人ほど居た。やじ馬はみっともないと思った。でもよく考えたら僕も一種のやじ馬だった。僕の出る幕でもないようだったので、ずっと3階のベランダから人があわただしく活動するのを眺めていた。


 警察官に状況説明を求められた人が、煙草を吸いながら答えていた。10分くらい経っても、煙草を手に持っていた。警官の前で、煙草をどうやって捨てるのかとても気になった。ほとんど燃え尽きているように見えたけど、まだ捨てない。その人は、警官が目を離したすきに、さっと素早く歩道脇の植え込みに煙草を捨てた。それに気付いたのは、おそらく僕だけだった。


 その後も消防署の人と警官があっちに行ったりこっちに行ったりしていた。道路に倒れた人は救急車に乗せられた。倒れていたところには、血が水たまりのようになっていた。とても赤かった。警察官が血のたまりを囲むようにして白いチョークで円を描いた。こんなシーンは初めてみた。僕は3階から見下ろしていて、そのせいだろうけど、別の世界の出来事のように思えた。人間がバイクにひかれて頭から血を流すという出来事があった。すぐそばだけど、どこか遠いところで。


 その道路沿いのレンタルビデオ屋の前に女子高生が自転車をとめた。やじ馬や警官には目もくれず、レンタルビデオ屋に入っていった。僕は女子高生のスカートからのぞく黒い脚に見とれてしまった。梨華ちゃんのような色の肉感的な脚だった。ふとももはむっちりしていて、ふくらはぎはししゃものようで、足首はシュッとしていた。僕は性的に興奮して勃起した。ベランダから部屋に戻り、梨華ちゃんの写真集を本棚から引っ張り出して裸になって梨華ニーをした。とても気持ちが良かった。