ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

握手会参加券


 午後2時ごろ、美勇伝の新曲、『紫陽花アイ愛物語』を買いに行った。予約していたんだけど、とりあえず新譜コーナーを覘いてみた。そしたら驚いたことに『紫陽花』はひとつも置いてなかった。オレンジレンジが大量に置いてあった。もう売り切れたのか、それとも始めから入荷しなかったのか。いずれにしても予約しておいてよかった。


 家に帰って、歌詞カードを開いたら、うす紫の四角い紙がひらりと落ちた。握手会参加券と書いてある。「え? マジで? こ、これがあれば梨華ちゃんと握手できんの? ヒャッホウ!」と僕は口に出して喜んだ。まあそのことは知ってたんだけど。喜びたかったから喜んでみた。


 そのあと、僕はとても大きな問題に直面した。それは、この参加券をどこに保管しておくかということだった。


 部屋のどこかの場所に、たとえば本棚の隙間にさしこんでおくのはどうだろう。ああダメだ、忘れるに決まってる。しおりみたいにして挟んだら絶対発見できなくなる。そんな経験はたくさんある。それで今まで何十人という夏目漱石を失ってきたんだ。どこにあるかメモをしても、多分そのメモをなくす。ダメだ。


 壁に貼り付けておくのはどうだろう。ああダメだ、勝手に入ってきた兄貴が目ざとく発見して、「おやおや? なになに? 美勇伝の握手会参加券? ああ、石川梨華の。あいつ馬鹿丸出しだな、こんなもの壁に貼るなんて。ひっひっひ、盗んでやる、嫌がらせしてやる、そして俺が石川梨華と握手してきてやる。石川梨華にも嫌がらせしてやる」とか言いながら持ち去ってしまう。そんな奴だ兄貴は。それでなければ、風に飛ばされてどこかに紛れてしまうかもしれない。かと言って飛ばされないようにガチガチに貼り付けたら、こんどは剥がす時に修復不可能なほどビリビリに破いてしまうかもしれない。壁も危険だ。

 
 常に肌身離さず持ち歩こう、それだ、それしかない。財布の中に入れておこう。ああダメだ。財布だっていつ失くさないとも限らない。実際、しょちゅう失くしそうになっているんだ。今日だって文カフェに置き忘れそうになった。酔っ払ったら財布とかほっぽり投げて遊んだりしちゃうからダメだ。最悪、自分で燃やすかもしれない。酒飲むと物を燃やす傾向にあるんだ僕は。なぜか知らないけど燃やしたくなるんだ。それもタチの悪いことに、大事なものを燃やしたくなるんだ。自分も他人も、みんなを困らせたくなるんだ。飲み屋の勘定書を燃やしたりするんだ。危険だ。握手会参加券なんか真っ先に燃やすんじゃないか。「ざまあみろ俺、これ燃やされたら困るだろ俺? てめえなんかに梨華ちゃんと握手させねえよボケが! ひっひっひ、燃えろ燃えろ」などと言って。ダメだ!


 さっき、「僕はとても大きな問題に直面した」と過去形で書いたけど、実はいまだに直面し続けている。解決しない。どこにしまえばいいかわからない。保管場所に悩んでいるうちに紛失しそうな気がしてならないんだけど。どうしよう、これどうしよう。だいたいが、こんな頼りない紙なあ、なくすに決まってんだろ! なんでこんなに存在感ないんだよ。もっと重厚な感じにしろよ、縦横2メートルくらいのダンボールとかにしろよ。あれ、ちょっと待って、参加券どこやったっけ? やっべ、あれ? おい無いぞふざけんな、あれ? あ、あった。ケツの下にあった。勘弁してくれよもう・・・。梨華ちゃんと握手したいんだよ・・・。でも恥ずかしいな・・・。やっぱり燃やそうかな・・・。