ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

授業に出ました


 7時40分すぎに教室に入る。遅刻。席を探しながら机に目をやる。まだ出席カードが配られていないようで、安心する。サッカー観られない上に出席カードも出せなかったらちょっとシャレにならない。
 オペラを鑑賞する。演者のビブラートにいたく感心する。僕もこんな風に歌えたらいいなあと思う。けっこう動き回りながら歌ってるのに、息切れしないのはすごい。
 出席カードが配られる。学年を書く欄があるんだけど、6年って書くときは胸がくるしくなる。回収する人は、「プ、6年とか、プ」って思ってるに違いない。「6年の社会不適合者のくせにオペラとか、プ。井戸でも掘ってろお前は。オペラとか優雅に鑑賞してる場合じゃないだろプ」って、そこまで言わなくてもいいんじゃないの?
 カードが回収されたあと、一人の女の子(洋子ちゃん)がこっそり教室を抜け出ようとする。それを発見した教授先生が、その洋子ちゃんのもとへすごい勢いでダッシュして行き、
「おい、君、どこへ行くんだ。待ちたまえ君、出席カードを出してすぐ教室を出るなんてどういうつもりだ。卑怯だよ! 常識で考えてみなさい、失礼だと思わないのか! 帰るなら欠席扱いにするぞ、それでいいか! 卑怯だよ!」
「じゃあわかりました。欠席でいいです」と洋子ちゃん。
 洋子ちゃんは、あれだと思う。サッカーが観たかったんだと思う。空気読めよ先生。みんなサッカー観たいんだよ。


 洋子ちゃんも、先生なんか無視してダッシュで逃げればよかったんじゃないか。
 先生は「まて! おい貴様まて! 逃げるな! 卑怯だよ!」とか言いながら追いかけていくだろう。
 洋子ちゃんは「追いかけてこないで! 私のことなんか、放っておいて!」
 先生は「放っておけるか、待て! 卑怯だよ!」
 洋子ちゃん、「私のことを追って来られるのは、私のことを愛している人だけよ!」と泣き叫びながら走る。
 先生、「そんなことを言うなんて、卑怯だよ! 愛だなんて、そんな言葉を軽々しく使うな! 卑怯だよ!」と叫びながら必死に追いかける。
 先生が洋子ちゃんを追っている隙に、僕らは教室から出ていく。教室には真性のオペラヲタと真性の左翼と真性の教授ヲタだけが残る。
 僕は早稲田通り沿いにある中華料理店「一歩」に駆け込む。定食を食べ、冷えたビールを飲み、煙草をふかしながら川口能活のファインセーブに拍手を送る。
 ああ、こうなっていたら最高だったのに。洋子ちゃん、君は逃げるべきだった。とことん卑怯になるべきだったんだ。