リカニーしなかったのは、結局のところ正解だった。セクシーボーイにぎりぎりで間に合った。リカニーしていたら、いくら僕が早漏とは言え、セクシーボーイを見のがしていたに違いない。そんなわけで僕はスタンドの7列目に座って青空の10人を観察した。セクシーボーイではれいなばっかり見ていたんだけど、れいなはやる気がなさそうに見えた。PVではもっとキビキビ動いていたような気がする。今日のあの子はなんだかもっさりしてる。わかりやすく言うと、PVのれいなはウイイレ7インターナショナルで、今日のれいなはウイイレ6ファイナルエヴォリューションだった。さらに言えば、PVのれいなはバーチャ2で、今日のれいなはバーチャ3だった。ところで青空の10人ていうのは、かっこいいネーミングだと思う。僕もそういうキャッチコピーみたいのが欲しい。例えばそうだなあ、流れ星のふちりん。稲妻のふちりん。五月晴れのふちりん。羊をめぐるふちりん。ふちりんの森。ふちりんの歌を聴け。ふちりん木馬のデッド・ヒート。世界の終わりとハードボイルド・ワンダーふちりん。やばい、楽しくなってきた。ふちりん失格。我輩はふちりんである。ふちりん畑で捕まえて。まあそんなわけで、れいながあまりにももっさりしてるので、ふとももを見ることにした。いろんなふとももを見たのだけれど、高橋愛ちゃんのふとももがとりわけ良かった。むちむちで、5秒後には張り裂けそうに見えた。ガキさんは、悪くないけど、ちょっと細すぎる。えりりんは、筋肉質すぎる。よっしーは、くたびれすぎている。マコは太すぎる。こんこんは、上品すぎる。小春は、若すぎる。れいなはシャム猫すぎる。ミキティは優しさが足りなすぎる。だから僕の中でふとももナンバーワンは愛ちゃんだった。ただこれは青空の10人の中では、ということ。やっぱり僕が一番好きなのは、梨華ちゃんのふともも。梨華ももが最も効率よく堪能できるのは、ひとりじめのPVだと、個人的には思います。あれはいい。それで僕は、青空の曲を聴いて、泣きそうになった。僕は正直言って、青空の10人というネーミングをかなり馬鹿にしていたんだけど、青空の10人自体はじつに素晴らしかった。だって泣きそうになっちゃったもん。悪いのはネーミングだけだということがわかった。
ライブが終わって、けやき広場に行く。知り合いの人が、僕のことを大手大手って言うから、僕は有名なのかなって思っていたんだけど、実際はそうでもなかった。みんな僕のことなんかどうでもいいみたいだった。がっつかれないのはしょうがないにしても、嘲笑もされなかった。「あれふちりんじゃん。きめえwwwww」とか言う人もいるのかなって思ってたんだけどね。僕もはやく有名になりたいな。そうすれば梨華ちゃんとも知り合えるかもしれないし。でも無理だろうな。僕には才能がないからな。
それからヲタの人たちと飲みに行った。笑笑はモーニング娘を応援してます。とかいうボードをかかげているモンテ社員がいたけど、すげーだるそうにしてて笑った。さすが笑笑。ぜったい娘なんか応援してないよこの人たちは。店の奥ではきっと、ホールの人がモーヲタの姿かたちをつぶさに報告して、みんなで笑っているんだ。
「おい聞いてくれよ。こういう感じの奴がいてさ・・・」
「マジでwwwモーヲタきめえwwwwwww」
それで、僕らは笑笑には行かずに、魚民に行った。僕が以前バイトしていたところ。一人顔見知りの女子がいた。でも向こうはぜんぜん気付いてなかった。あのひとの中では、僕という人間は非常に完全に死んでいるというわけだ。そして乾杯をして、なんとなく人数を数えてみたら、そこには10人のヲタがいた。なんという偶然。僕はこの発見に胸を躍らせて、「僕らもまさに青空の10人ですね!」と言ったんだけど、反応はすこぶる悪かった。誰一人として嬉しそうな顔はしなかった。僕はもしかしたら空気が読めてなかったのかもしれない。そして酒を飲みまくって、大手サイトの悪口を言いまくって、12時すぎたあたりで見事につぶれた。