妄想よりも確かなもの

 梨華ちゃんと二人で並んで歩く夢をみた。
 腕がときどき触れあったりしてドキドキした。
 梨華ちゃんは「仕事がたいへんなのよねえ」とか言っていた。
 僕はただ、梨華ちゃんが何を言っても、すごいじゃんとか、すげえなあ、とか、超すごいじゃんとか、そういうことしか言えなかった。とりあえず「すごい」って言っておけば何とかなるんじゃないかと思った。そして実際、なんとかなった。会話は成立したし、ふんわりした良い雰囲気さえただよっていた。僕たちは友達以上恋人未満的な感じであり、とにかくこれは超すごくいい夢であった。そう、夢だった。しかし。

 しかしながら夢の中では、これは現実だと確かに感じていたわけで、となると僕は「現実に」梨華ちゃんといい雰囲気になったと考えても、そう大きく間違ってはいないような気がする。「それは夢だった」というのではなくて、「過去にそういう現実があった」と考えてもいいんじゃないか。要するに、それは普通の現実とかわらない次元にあるもう一つの現実なのだ、少なくとも僕にとっては。つまり僕はほとんど断言してしまってもいいのである。僕は梨華ちゃんと二人きりでいい雰囲気になったことがあると。キスをしたこともあると。それ以上はまだだけれど。

 でもこのむなしさは何だろう。どうしてこんなに死にたいんだろう。死ぬほど死にたい。