ものすごい下らないことをやりたいな。ぜんぜん文学的じゃないことをやりたいな。一つも論理的じゃないことをやりたいな。誰にも評価なんてされたくないな。ぜんぜん意味のないことをやりたいな。誰からも唾をひっかけられるようなことをやりたいなあ。美しくもなんともないことをやりたい。ゴキブリの這いまわる音が聞こえてくるような最低の文章を書きたい。誰ひとり劣等感を感じないですむようなことをやりたいんだ。偉ぶってるやつを叩きのめしたって、そのことで英雄になったらお終いだ。そんな英雄になんてなれるわけはないけど。僕は誰よりも下等な人間でありたい。優雅にはなりたくないし、お洒落にもなりたくないし、文学的なものなんて反吐が出るし、お台場の観覧車は破壊しないと気がすまないし、静かに降り積もった雪なんて汚い泥水に変えてやりたいし、美しい満月が出れば墨でまっくろに塗りつぶしてやりたいし、綺麗な花を見れば花びらをちぎってドブ川に一枚一枚すてていきたいし、彼女がいるやつは全員腹上死でもすればいいと思うし、詞的なセンスがあるんだか知らねえけど、文学的なんだか分析がすげえんだか小説が上手いんだか頭がいいんだか顔がいいんだか一生懸命なんだか苦労してんだか大手なんだか学歴あるんだかすげえ成功してんだか知らねえけど、そういう奴をやたら褒め称えたり特別扱いしたりする奴は雪だるまの中で凍死すればいいし、クリスマスの日には天から墓石が降ってきてこの世界を殺してくれればいい。もし誰かが僕を褒めたり称えたりしたら、そいつの口を強力な糸で縫いつけて二度としゃべれないようにしてやる。僕はそんな言葉一つも受け入れない。僕に向けられた褒め言葉は全部ごみ箱に捨ててやる。僕は梨華ちゃんを愛するように、みんなのことを愛しているよ。梨華ちゃんはまだ死んでいないけれど、みんなは梨華ちゃんの生まれ変わりだ。だから僕は誰のことも見捨てないんだ。あなたがどんなに最低な人間であっても、あなたのことが大好きです。そして僕はあなたより最低な人間です。ゴキブリ野郎なんです。ホウサン団子が食べたくてしょうがないんです。
