舞台「だいこん」観劇日記その2 カレーきしめん

 前回名古屋に来た時は、名古屋らしいものを何一つ食べなかったため、今回は名古屋らしいものを食べようと考えていました。前回はオモシロを優先し、名古屋まで来てあえてすき家で牛丼を食べてしまいました。今回は、オモシロとかやってる場合じゃなかったこともあり、名古屋名物っぽいカレーきしめんを食べました。

 カウンター席に座って一人でカレーきしめんを啜っていると、隣のカップルの話が耳に入ってきました。カップルは仲良く話をしていたが、男が不意に女の頭をはたきました。結構な音がし、女は「いったーい。DVだよこれー」と男を半分冗談、半分マジみたいな感じで非難しました。「隣のカップルの女がDVを受けているとしても、人のことをとやかく言えないぞ。何しろ僕は扇風機に対してDVをしているし、扇風機と共依存なのだから」と思いました。僕は、やりきれない気持ちを拳にこめて、扇風機を日々ぶっとばしていたのです。ぶっとばした後、我に返り、扇風機にいざり寄って行って「ごめんね。痛かった? 本当にすまなかった」などと謝るのです。

 カレーきしめんはとても美味しかった。店を出ると、僕はいよいよ名古屋の中日劇場に足を向けました。梨華ちゃんの舞台「だいこん」を観ることは、まさに自分との戦いになるだろう。そう思い、「梨華ちゃんを見ても泣かないように頑張ろう!」と自分を鼓舞しました。コメディ的な愉快シーンでなぜか僕だけ泣いている、しかも最前列のど真ん中で、という事態だけは何としても避けたかった。もっとクソ席だったら別に泣いててもいいけれど、幸運なことに僕は最前列のほぼ真ん中という神席を引いていたので、泣いてたら超目立ってしまう。梨華ちゃんの演技に支障が出かねない。絶対に泣くわけにはいかなかった。かと言って、精神安定剤でも飲んで、梨華ちゃんの目の前で眠り込んでしまうわけにもいかない。僕は厳しい状況に立たされていました。