- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/04/18
- メディア: 単行本
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初めて一人でホテルに泊まる僕でしたが、初めてじゃないような顔をして東横インにチェックインしました。僕の部屋は、シンプルな狭い部屋でした。とりあえずやることがなくて、ベッドに腰掛けて鏡を見つめました。ここにいると、自分と向き合うことができる、と思いました。家具も少なく、自分と向き合うくらいしかやることがなくて、逆に危険のような気もしました。自分に向き合いすぎないよう気をつけよう、と思っていたら、部屋の片隅に小さな本棚があるのが目に入りました。そこには内観の本が数冊置いてありました。「内観か。どれどれ、せっかくの機会だから内観でもしてみようかな」と思ってざっと見てみました。しかし、アイドルへの恋について書かれている箇所が見当たらなかったので、内観しませんでした。
僕は、持ってきていた村上春樹の『女のいない男たち』を開き、「独立器官」という短編を読みました。この短編は、ガチ恋*1の話です。主人公がヲタだとすると、次のような話です。
そのヲタは、DD*2として楽しくヲタ生活を送っていました。アイドルにガチで恋するなんてありえないと思っていました。アイドルは楽しむものであり、恋愛の対象にするものではないと。しかし、ある時、いつも通り楽しむためにライブに行くと、一人のアイドルをどうしようもなく好きになってしまいました。ガチな恋に落ちたのです。あれ、おかしいぞ、こんなはずではないのに。胸のドキドキが止まらないぞ。そしてそのヲタは、しだいにガチ恋の闇に飲み込まれて行きます。そういう話です。
僕は自分自身のガチ恋に照らし合わせながら、「独立器官」という短編を読みました。その短編の主人公である渡会医師のガチ恋にともなう心の動きを丁寧になぞっていくことで、僕の心の道筋も少しずつはっきりしていきました。はっきりしたところでガチ恋は何も解決しないのだけれど、少しだけ安心したのは確かでした。それからシャワーを浴びて、裸でオナニーをして精神安定剤を飲んで寝ました。