その58 第3回リカトラクイズ

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 テーマトークのコーナーが終わると、第3回リカトラクイズが始まりました。リカトラクイズ王には、梨華ちゃんが愛用している阪神タイガースのハッピがプレゼントされるとのこと。僕は2年3か月くらい前に、わけあって、野球の記憶を喪失してしまったので、阪神タイガースが何なのか分かりません。大阪や神戸にいるトラたち、ということしか分からない。なぜハッピを着るのかもわかりません。でもその当時はまだ、野球の記憶を喪失してはいませんでした。だから意味が分かったし、欲しいなあ、とも思いました。ただ、梨華ちゃんがよく着ていた服を手にしたら、僕はふしだらな行為におよんでしまうのではないか? そんな僕が手に入れてしまってもいいのか?という葛藤はありました。

 その葛藤のせいではないけれど、僕は第一問で早々に敗退しました。梨華ちゃんが初めてセンターになった曲、『ザ☆ピ〜ス!』のジャケットの梨華ちゃんは、右手と左手のどちらを腰に当てていたか、という問題だったと記憶しています。しかしなにぶん4年3か月も前のことなので、確かなものではありません。右足と左足のどちらを前に出していたか、という問題だったかもしれない。いずれにせよ、そんな感じのマニアックな問題でした。

 僕は上の写真のように、『ザ☆ピ〜ス!』のCDをベッドの足元の収納ケースに飾り、毎日目にしていたにも関わらず、正解することができませんでした。でも僕は引っ込み思案で、あまり人の注目を浴びたくない性格なので、早々に敗退して残念だったけど、少しほっともしました。その後はパイプ椅子に座り、リカトラクイズの模様を眺めていました。梨華ヲタ一の巨漢かつ知識人であるゴーレム氏が勝ち進んでいくと、大勢のヲタからブーイングを浴びせられたり、いじられたりしていました。それを見かねた梨華ちゃんが、「ちゃんと応援してあげて下さいよ」と苦言を呈したら、みんな急に温かくゴーレム氏を応援し始めたので、「みんな素直!」てなりました。

 リカトラクイズが催される前に、まずヲタが部屋の後方のスペースへと集められました。そして梨華ちゃんはおもむろにステージから降りて、客席の後方のスペースへ向かって歩き出しました。あまり広くないスペースに密集している100人近いヲタのど真ん中を、梨華ちゃんが「ちょっと通りますよ〜」みたいなことを言って通り抜けて行きました。そのとき、まるでモーセが海を割るかのようにヲタが身を引いて道をつくり、誰も梨華ちゃんに触れようとしなかったので「すごい! 梨華ヲタのみんなは紳士だなあ!」と思いました。

*1:エムラインクラブの会報14号より。