ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋しているおじさんの記録

墓参り


 朝7時に起きて、30分民法の勉強をした。そのあと風呂に入った。そして親と飼い犬のロッキーといっしょに墓参りに行った。


 墓前で、線香を穴に挿し込み、祈りを捧げた。目をつむったら、不可避的に梨華ちゃんの顔が浮かんできた。梨華ちゃんと結婚できますように、と祈った。ご先祖さま、ごめんなさい。ほかに何も思い浮かばなかったんです。


 おばあちゃん家に行った。一番上の兄が子連れで来ていた。兄はたくましい。さすが機動隊で日々訓練してるだけはある。腕の太さが僕のふとももくらいあった。梨華ちゃん拉致監禁するのはやめようと思った。殺される。リカニーにとどめておこう。国家権力。


 兄の子ども、6歳の幼女に、「君」と呼ばれた。「なんで僕のことを君って呼ぶの?」と尋ねたら、彼女は「君の名前を知らないから」と答えた。僕は泣きそうになった。


 ロッキー(犬)をだっこして、幼女に近づいたら、「ちんこ、ロッキーのちんこ見せて」と言われた。僕は「ちんこは、見せない。だめだよ」と言った。でもロッキーのちんこは幼女の目に入ったようで、「あ、ちんこだ」と言った。僕は泣きそうになった。こんな6歳の女の子が、ちんこという名詞を知っている。ちんこがどんなものかということを知っている。その事実が、僕の心を打ちのめした。6歳の女の子が知ってるくらいなんだから、20歳の梨華ちゃんは当然に知っているだろう。梨華ちゃんが、ちんこを知ってるなんて・・・! 嘘だろ・・・。そんなこと知らなくていいのに・・・。


 鬱になった僕は、おばあちゃん家を飛び出してバッティングセンターに行った。元ヤクルトの池山ばりにフルスイングをした。くそ、ちんこなんて、ちんこなんて、梨華ちゃんにはちんこなんて必要ないんだ。世の中のちんこ全て無くなってしまえばいいのに!


 おばあちゃん家に戻り、ビールをたくさん飲んだ。兄とか親とか親戚の人たちはあんまり飲まなかった。僕ばっかり馬鹿みたいに飲んでいた。お前ら空気読めよ。何で僕だけが飲んでいるんだ?


 飲みすぎて、しゃっくりが止まらなくなった。ヒック、ヒック、という音を繰り返し出していたら、おばあちゃんに「ちょっと、だいじょうぶかい、ふっち、100回しゃっくりしたら死んでしまうよ」と心配された。
「もう、100回以上しゃっくりしたよ。ヒック。でも死んでないよ。だいじょうぶだよ。だいたいね、しゃっくりで死んだ人なんて聞いたことないよ。ヒック」


 帰るときに、おばあちゃんがお小遣いをくれた。1万円。25歳なのに。「ありがとうございます。ヒック」と僕は言った。「卒業の前祝いだよ」とおばあちゃんは言った。「将来が楽しみだね。お嫁さんの顔、はやく見たいものだよ」
 お嫁さん。梨華ちゃんを連れてきて、この人が僕のお嫁さんになる人だよと言ったら、おばあちゃんはどんな顔をするのかな。
「あらぁ、ふっち、すごいべっぴんさんじゃないの。あんたにはもったいないね」なんて、そんなことを言うのかな。


 家に帰ってきて、いつものように、「梨華ちゃん、ただいま」と言ってポスターにキスをした。「好きだよ、ヒック」


 おばあちゃん、ごめんね。僕はたぶん、生涯だれとも結婚できません。ヒック。