早起きふっち君


 朝9時ごろに起きる。カーテンの繊維のあいだをすりぬけてくる淡い光のもとで、僕はとりあえず、梨華ちゃんを抱きしめる。正確には梨華ちゃんの写真集をだきしめる。別に誰に見られてるというわけでもないし、思い切って猫なで声で梨華ちゃんに語りかける。「梨華ちゃん。おはよう。ねえ知ってる? 僕は昨日だけじゃなく今日もまた梨華ちゃんのことが大好きなんだ。梨華ちゃん。好き。超好き。好きすぎて馬鹿みたい」そして僕は梨華ちゃんをきつくこわれそうなくらい抱きしめ、1千万回くらいの寝返りを打つ。そのうちに不可避的に勃起してくる。こういうことしてると必ず勃起する。僕はどうにも、性的にたかまってきちゃって、がまんできなくなっちゃって、パンツをおろさざるをえなくなる。写真集を開かないわけにはいかなくなる。それで、リカニーをする。しちゃった。


 そのあと僕はやはり鬱になる。梨華ちゃんがもし処女じゃなかったとしたら。非処女だったとしたら。梨華ちゃんは誰かと、もこみち的な誰かと、現実にベッドでじゃれあったりしてるということになる。そのもこみち的なクソ野郎は、梨華ちゃんのうるんだ瞳を独占し、黒いかもしれない乳首をなめまわし、くびれまくったくびれをなでたり、つかんだりした上、ぷりぷりつるんとした安産ヒップを自由自在にあやつるのか! そしてその挙句、梨華ちゃんの根源的なところに自らの根源的なものをさしこむわけか。まいる。まいった。僕はそれを想像して、死にそうになった。やめてくれよ。そんなのって、たまんないよ。いやだ、いやだ、梨華ちゃんが非処女だなんて、絶対いやだ!


 僕はちょっとだけ涙を流して、ぐすん、とか言ってみたあと、梨華ちゃんは処女だと、自分に言い聞かせる。そんなわけない。梨華ちゃんは処女だ。間違いない。少なくとも今は