文学

 真剣に死にたくなった僕は、文学に救済を求めることにした。死にたくなったときは文学に限る。僕はジュンク堂書店に駆け込んで、僕を救ってくれるような文学を探した。まず文学のコーナーに行って夏目漱石を手にとった。我輩は猫である。ぺらぺらめくって10行くらい読んだ。そしたらその10行のうちに読めない漢字が13個あってげんなりした。ルビをふれよ、ルビを。読めないんだよ。全ての漢字にルビをふってほしい。だめだ、漱石は漢字が難しすぎる。僕はルビのふってある文学を探し求めて歩きまわった。

 そして紆余曲折をへて、児童書のコーナーに行き着いた。少年少女の冷たい視線が気になりつつも、岩波少年文庫を手にとると(なんとかの冒険)、そこはルビの楽園であった。本文よりルビの方が多いんじゃないかというくらいのルビ王国だった。これだよ、これ。僕が求めてたのはこういう文学だよ。僕は読める、読めるぞおおおと、天空の城ラピュタムスカみたいになってしばし文学をむさぼり読んだ。でも、漢字は読めるけど、内容がよく理解できなかった。

 僕は最終的に、絵本に文学を求めることになった。しかしながら相変わらず意味不明だったので、絵ばかり眺めた。そこには色んな絵があって、僕をやさしく励ましてくれた。僕はすこし救われたような気がした。口臭も減ったような気がする。ありがとう文学。死にたくなったときは、文学に限るね。