想像

 梨華ちゃんは今日、打ち上げ的なものをするのかもしれない。そう思って、その様子を想像してみたら、気持ちが不愉快になっちゃった。ろくでもないスタッフが梨華ちゃんに近づいて「どーも、どーも、おつかれさんです。どうです一杯。いいから、飲んでくださいよ、いやー、ライブ良かったです、最高でした。石川さんは特によかった。おっぱい全開でしたね。ここだけの話ですがね、俺はですね、岡パイよりも梨華パイの方が好みなんですよ。小ぶりなおっぱいが好きなんですね、俺は。でかけりゃいいってもんじゃないんです。大事なのは、品位であり、度がすぎないということです。梨華パイは、いいです。よかった。ずっと見てましたもの。仕事そっちのけでね、まあいいんです、仕事なんて適当でいいんです、どうせ相手はヲタなんだから。それでですね、もしよかったら、今度二人でどっか行きませんか。いや、フライデーとかは、大丈夫です。コネがあるんで。親戚が講談社の幹部やってんです。もし撮られても揉み消すことができます。だから、とりあえずドライブでも行きましょうよ。いやあ、これは嬉しいなあ。石川梨華とデートできるなんて、実に誇らしいことだなあ。自慢になるなあ。いや、それは、自慢は誰にもしませんけどね、へへへ。言いませんよ、誰にもね」と言うところを想像したら、じつにじつに腹が立ったので、携帯を思いっきりなげた。そうしたら携帯ぶっこわれちゃった。まいったな。それにしても、そのろくでもないスタッフと、僕の生きる次元はどうしてこうまで決定的に異なっているんだ? まったくもって納得できない。僕も、そのスタッフも同じくらいろくでもない人間じゃないか。なのにどうしてこんな次元的差異が生じるんだ? どうして僕はベッドの中で泣いていて、そいつは打ち上げでホクホク顔なんだ? どうなってんだよこの世の中はよ?