梨華しちゃいました!

 時計を見てみたらびっくりしちゃいました。だって午前5時なんだもん。午前3時くらいかと思ってたけど、午前5時なんだなあ今は。みなさん、午前5時のいま、いかがおすごしですか。寝てるのかなあ。まあだいたいの人はねてるよね。だっていまは午前の5時だもんな。梨華ちゃんも寝てるんだろうか。君はどう思いますか。梨華ちゃんは果たして眠っているのか。僕は、すやすや可愛らしく寝ているんじゃないかと思う。そんなわけで僕は、梨華ちゃんによばいをかけるつもりだ。なんてね、そんなの冗談に決まってるじゃないか。僕はね、よばいはしないよ。そのかわりに今から、梨華ちゃんによばいをかけるところを想像する。

 梨華ちゃんは何ものかがベッドに入りこんできたことに気付いてびっくりする。僕はふとんの中から顔を出し、梨華ちゃんのびっくりした顔を真上からみつめる。
 「梨華ちゃんってさあ、びっくりした顔もかわいいよね。僕はさあ、梨華ちゃんのことが好きなんだよ。ねえ知ってるかな、これってさ、よばいっていうんだよ。よばい。へへへ。梨華ちゃん。好きだよ。大好きなんだ。しようよ。ねえ、いいでしょう。しようよ」
 梨華ちゃんは、変態でも見るような顔つきをして1秒ちょっとのあいだ僕を見つめたのち、ベッドから転がり出た。
 「あなた誰よ、け、警察を呼ぶわよ」と梨華ちゃんが言った。
 僕は僕の下に発生した暗い空間を見つめながら言った、「ねえ知らないの、梨華ちゃんは僕のことを知らないのかい。ふっち君っていうんだけどね。世界で一番、君のことを好きな人なんだけどね。知らないの。梨華しちゃの人なんかより、ずっと好きだよ」
 「知らないわよ。あなたはわたしのことを好きかもしれない。でもわたしはね、あなたのことなんて知らない。梨華しちゃの人は有名だから知ってるけど、ふっち君って何なのよ、誰よ、知らないわよ。とにかく、警察を呼ぶわよ。よ、呼びますからね」
 梨華ちゃん梨華ちゃんの部屋を出ていった。警察を呼びに行ったのだろう。僕はつまかるにちがいない。いわゆるタイーホってやつだ。2ちゃんねるでは大変な騒ぎになるだろう。特に狼ではね。大きな祭になるよ。参加できないのが残念だ。「ふっちは死ね」「だから言ったじゃないか、あいつはやりかねないって。前もって逮捕しておけばよかったんだ」「でも梨華ちゃんが無事でよかった」「ふりちんタイーホ」「また早稲田か」「結局きちがいだったんだな、あいつは」「記念パピコ」「ふっちとかいうやつボコりてえ」「んで、ふっちって誰?」
 部屋は暗かったけれど、だんだん目がなれてきて、部屋がピンク色で統一されているらしいことがわかった。ベッドも、もちろんピンク色をしていた。僕はベッドの中で、僕の下の何色でもない空間をみつめながら、リカニーをやりはじめた。梨華ちゃんはいないけれど、かすかに梨華ちゃんの匂いがした。いい匂いだった。ラベンダーのような香りだ。正常位。
 パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。だんだん近づいてくる。僕はすこし焦りながらもリカニーを続ける。パトカーのサイレンが止まった。しばらくして、玄関のほうから梨華ちゃんの声が聞こえてきた。興奮の絶頂にある時のような声色だった。僕はそれを聞いて、おだやかな幸福を感じながら射精し、そのあとすぐに梨華ちゃんのベッドから飛び出し、窓を開け、ベランダの手すりを乗りこえた。