横浜アリーナ、夜


 横アリに着いたのは開演5分前だった。ハロショでの梨華ちゃん選びに時間をかけすぎてしまった。チケットを切って中に入ると、スタッフの人が「まもなく開演です!」と叫んでいた。しかしそのとき、ケツのあたりに唐突にうんこらしき気配を感じた。


 僕は早足でトイレに向かい、個室に入ってその気配の主をしぼり出そうとしてふんばった。しかしうんこは出なかった。「スカ、プゥ」という音とともにおならが出ただけだった。ケツのあたりで僕にその存在をアピールしていたのは、うんこではなくておならだったらしい。僕はうんこも恥ずかしいけど、おならの方もうんこに匹敵するくらい恥ずかしい。まぬけな音がした上にまぬけなニオイがたちこめるんだもの。僕は思わず赤面してしまった。梨華ちゃんのすぐそばで、言ってみれば梨華ちゃんと同じ屋根の下で、「スカ、プゥ」だなんていわせておならをしちゃったんだ! このまぬけな音が、もし梨華ちゃんに聞こえていたらどうしよう。恥ずかしい。